2008/06/04

アメリカ大統領選、本選へ

オバマ上院議員が代議員数で過半数を獲得し、民主党予備選を見事に制しました。今回の民主党予備選では対立候補のヒラリー・クリントン上院議員がだいぶ健闘していましたが、唐突に泣き出したり怒り出したりするヒステリックな行動が多々見受けられ、オバマ上院議員に対する中傷キャンペーンに力を注ぐその姿は、とても好感を抱かせるようなものではありませんでした。夫であるビル・クリントン元大統領が日本に対して行った内政干渉やその当時の日本製品不買運動なども強く印象に残っていますから、日本人でクリントンという名を好意的に受け止める人は少ないとは思いますが。

アメリカ大統領選はこれからいよいよ本番を迎えます。オバマ上院議員はアメリカ史上初の黒人大統領候補として、共和党のマケイン上院議員と対決します。民主党予備選で大きな州を取ってきた実績を持つヒラリー・クリントン上院議員を副大統領に指名し本選に臨むといった憶測も流れていますが、逆にそうなってしまうとマケイン上院議員に勝つのが難しくなる恐れも出てくるでしょう。あれだけ誹謗中傷を繰り返してきた感情的な人間と手を組んで仮に大統領になれたところで、その後のホワイトハウスにおいて仕事(change/変革)を進めることができるのか? その点を疑問に思うアメリカの有権者は少なくないように感じるからです。

他にもブラッドリー効果というジンクスがあります。1986年、世論調査では勝利確実だった黒人候補のブラッドリー氏でしたが、実際の投票では保守的な思考が働いて白人候補の方に票が流れてしまい、ブラッドリー氏はあえなく落選してしまったというものです。ただ、黒人候補と言えばキング牧師の演説で名高い公民権運動を連想させるのが常ですが、オバマ上院議員の場合、奴隷制とは関係がない出自のエリートであり、多民族国家アメリカの新時代の開拓者としての注目度が非常に高いようなので、ブラッドリー効果が素直に再現されるとは限らないかもしれません。しかし、それでもオバマ上院議員のような白人労働者に好かれていないエリート政治家が、経験豊かなマケイン上院議員を打ち負かすのは容易ではありません。

アメリカ大統領選の年の外国為替市場はあまり動かないと言われていますが、大統領候補がアメリカの貿易赤字について口を出しはじめた時は注意が必要です。世界的にインフレという状況なのでドル高が国益だとは思いますが、両者とも経済にはあまり強くないとの事なので念のため。