2008/05/14

FXの不公正な税制

FX(外国為替証拠金取引)の税制には二種類あります。一つは東京金融取引所(くりっく365)に参加している業者と取引した場合。もう一つは参加していない業者と取引した場合です。どちらも行っていることは同じなのですが、取引所参加業者との取引で発生した利益は申告分離課税で一律20%、先物との損益通算も可能で損失を3年間繰り越せるという優遇税制がある一方で、参加していない業者との取引で発生した利益は総合課税で15%から50%、優遇税制は一切ありません。

外国為替市場の歴史を振り返ってみますと、世界的にも取引所を介さない業者との相対取引(Over the counter)がメジャーであり、事実、FX専門の取引所が存在するのは日本だけです。表向きには投資家保護などと謳っていますが、世界唯一の取引所が税制でこれだけあからさまに優遇されているカラクリは、取引所に所属する経営陣を天下りというキーワードで精査すれば自ずと得心がゆくのではないかと思います。

この国の官僚に権益を手厚く守られているマスコミの多くは、脱税といったセンセーショナルな事例ばかりをクローズアップし、このような不公正な税制に困惑する投資家の模様や、資本流入に不公正な金融システムの弊害についてはなかなか言及しません。優れた技術者や技能者によって台頭することができた日本経済が、既得権益にしがみつく官僚や世襲政治家、偏向報道を鵜呑みにする無思考な市民などによって多くの資本から見放され、世界のマーケットから取り残されていくのだとすれば、それは自業自得なのでしょうがとても残念なことです。