2008/05/11

FXを侮ることなかれ

1998年の外為法改正によって解禁されたFX(外国為替証拠金取引)は、債券や株などと比較して自由度が高い金融商品です。どのくらいの資金を投じてどの通貨ペアをどのタイミングで買いからエントリーしようが売りからエントリーしようが、それらの投資判断は投資家にすべて委ねられています。これはすなわち、FXに対して理解が足りない投資家が判断した場合でも、判断は下したわけですから相応のリスクを背負うのが当然の帰結となります。ところが、どこぞの主婦が何億脱税したなどというニュースが流れるからか、軽い気持ちで参加した人の中には売りから入れるということすらよく分かっていらっしゃらない不勉強な方も多く、特に問題がない業者で取引したにもかかわらず最近の円高で予想外の損失が出たなどと行政機関に苦情を申し立てるクレーマーもいるそうです。消費者保護の理念を拡大解釈して被害者を装う人が後を絶たないというような状況が続くと、本当に被害が起こってしまった時の肝心の対応が遅れてしまうかもしれません。真剣に取り組んでいる方にしてみれば、これほど傍迷惑な話はないでしょう。

外国為替市場は世界一の流動性を誇るマーケットであり、インサイダーも成立しにくく比較的フェアな取引が可能ですが、勉強不足のまま参加されるような方にはしっぺ返しが待っています。どこぞの主婦が何億脱税したというお話には後日談があって、翌年にそれ以上の損を出して通常の税金分も満足に払えなかったというオチです。FXを始めるには、せめて「FXはお金を賭けるギャンブルだ」という認識から「FXはお金を投じる金融商品だ」という認識くらいにはシフトしておく必要があります。ただし、どちらも生き馬の目を抜くプロが睨みをきかせていることには変わりありませんので、闘う意志がなければ稼ぐことは難しいと思います。