2008/05/29

証券優遇税制

証券優遇税制の撤廃は資本の流動性を低くしてしまいますので、資本主義社会の国益を損なう愚策でしかありません。もはや鎖国で成り立つような産業構造ではありませんし、新興国などの台頭により製造業の分野において抜群の競争力を誇れる時代でもありませんから、資本の流動性には特段の配慮をするべきです。特に貧困を経験したことがない人たちは、自分たちの環境がいかに恵まれているかに理解が及ばず、表面だけを見て金持ち優遇ではないのかと安易な論理を喚き散らし、仮にその論理に従って政策を展開すれば世界の資本から見放され、恵まれない環境という過酷な現実に突き落とされる恐怖のシナリオを分かろうとしません。

証券優遇税制については、2010年12月末まで2年間の特例措置を設け、上限金額までに限って優遇税率を維持することで落ち着きましたが、国益よりも官益を重んじる税制調査会ではこの程度が限界のようです。増税は社会保障のためというまことしやかな根拠が流行っていますが、どれだけ増税を繰り返そうが獲得した資本をろくに運用もしないまま自分達のポッケに入れていることは明らかですから、このままではいずれ日本の財政は破綻をきたすことになるでしょう。社会保障費を悪質な詭弁のためのカードにはしてほしくないと思います。