2008/06/13

ミヒャエル・エンデの遺言

ミヒャエル・エンデはドイツの児童文学作家です。『モモ』や『はてしない物語』といった作品でよく知られています。利子という名の錬金術が経済に成長しなくてはならないという宿命をもたらし、この金融システムによって人類の未来が失われつつあるというエンデの問題提起は重く、後半では有意義な地域通貨の金融システムが紹介されています。日本にも地域通貨が数多く存在するようです。

それ以上に、シルビオ・ゲゼルが提案した「減価する貨幣」は興味深いものがあります。マネーの価値が日々減価するようになれば、資本家は資本を貯め込まなくなり、物の価値が高騰することもなく、理想的な金融システムが出来上がる。しかし、その時はケインズが指摘していますが、貨幣が債券や貴金属に置き換わることになりそうです。やはり経済学でインセンティブを無視することはできません。

経済格差を解消するためには、市民がより公正なマーケット(資本も労働も教育も)の構築に注力することが大切なのではないかと個人的には思います。遺伝子や出自の時点で生じている格差を解消することに比べれば、それはとても簡単なことだと考えていますが、民主主義が広まった今でも世界では権力がマスコミと結託している例は珍しくなく、彼らは既得権を固定化することで莫大な富を享受しています。市民にメディアリテラシーが備わっていなければ、公正さは獲得できません。