2008/06/10

バカで無責任な床屋政談

2008/06/09-18:06
原油高に怒りもピーク=米投資家を名指しで非難-経産次官
「怒りに近いものを感じる。何でも、もうければいいというマネー経済、ウォールストリート資本主義の悪い面が出ている」-。経済産業省の北畑隆生事務次官は9日の記者会見で、1バレル=140ドル目前に達して天井知らずの原油高騰に怒りを爆発させた。同次官は、米機関投資家のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーが原油高は今後も続くと予測したリポートを公表後、原油が急騰したと名指しで非難。「片方で投資をしておいて(取引に)有利な情報を流す。(市場の価格が)しかるべき水準に収れんするメカニズムが機能していない」と不満を述べた。その上で「どんなことがあってもファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は60ドルだと言い続ける」と強調した。
以上、時事ドットコムより

一見、原油高騰を懸念する上でもっともな発言のように思えます。原油高騰は企業活動にとっても国民生活にとっても大きなマイナス要因です。しかし、彼がいくら60ドルだと言い続けたところで、世界のマーケットがそのような根拠に著しく欠いた価格水準を意識することはありません。米機関投資家に対する非難もこの件では誹謗中傷の域を出ません。彼は過去にも「デイトレーダーはバカで無責任」と述べ、外資によるブルドックソース買収を非難し、TCIによるJパワー株買い増し計画を止めています。つまり、マーケットに無知な日本の高級官僚が退官直前になって、財界の既得権益に媚びへつらい退官後も甘い汁にありつこうという浅ましい思惑が透けて見えます。このような人物が資本主義経済を標榜する国家の高級官僚であるという点が、この国の将来性の無さを悲しくも物語っているように思います。

WTI原油先物の投機筋は商品先物取引委員会によって監視されていますので、どうやら商業筋を隠れ蓑にした年金基金による長期マネーやロンドンの先物取引市場が怪しいという見解があります。今後、何の解決にも繋がらない発言よりは有効な対策が打たれるでしょうが、先週末に暴騰し昨日は3%台の急反落といった相場傾向を見る限り、原油安ドル高も予感させます。マーケットは需給が全てです。バカで無責任な床屋政談はロイターでは相手にもされていませんが、妄言には惑わされないようにくれぐれも気をつけてください。